根暗なマイ・ハートに一つ花が咲いた

結婚式場営業マン 地元で起業への道

少年は旅に出て大人になった。大人は旅に出て少年になった。

あの日もこんな風に飲み会に参加をしていた。

約半年前のことを行方は思い出していた。

 

 

前職のK部長から男の生き方とは何か、というのを泥酔しながら聞かされた日だ。

K部長の話を聞きながら行方は、テーブルの上にあった飲みかけのジンジャーハイボールを見つめていた。

 

 

K部長「男というのは苦労をすれば、苦労しただけ男が磨かれる」

 

となりに座っていたK課長が上機嫌にうなずきながら程よく酔っ払っていた。

その正面にいるK係長も、何か熱い話を行方に伝えたがっている。

 

 

転職後は、何かちょっとした、少しの壁にぶつかる度に、前職の上司や同僚達から受けた言葉を糧にし、その壁を乗り越えようと戦っていた。

もらった言葉の数々は今や宝となるものばかりだ。

その人達との多くの出会いは、営業を知らなかった行方にとって大きな影響になった。

 

 

営業とは何かを一から教えてくれたK課長

男を磨けと口癖のように言っていたK部長

頑張っていた本好きK島さん

ほとんど同じタイミングで入ったK田主任

何かいろいろ言ってたけど嫌いだったからほとんど話を聞いていないのに、頑張って何かを熱く永遠に語ってたK本係長

半年の短期間お世話になったK南支店の仲間達

K南支店にいたスタイルの良かった美人のK子さん

同じくK南支店の業務課にいたK藤さん、K岡主任

 

 

 

 

 

飲み会も終わり、靴を両足に履いた時、壁に掛けられた古い時計の針は、23時半のあたりを指していた。

アルコールの回った気分の良い状態で思い出された、お世話になった前職の皆の顔を思い浮かべながら行方はゆっくりと思った

 

 

 

 

 

 

行方(・・・・Kばっかだな)